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国家とは何か(第1回)
                             ヨハネ・皆 川 尚 一
BC第5世紀の著作
 国家とは何かを論じた著作で有名なのは、プラトン著「国家」(岩波文庫上下2巻)であるが、これは既にあった君主独裁制国家、貴族制国家、民主制国家等の中でどういう国がより善い国かを論じている。ソクラテスは、個人における正義の拡大された姿を国家に見ることから始めて、知恵・勇気・節制・正義の四徳を備えた哲学者が治める国を理想の国とした。

 ところで、ブラトンやソクラテスと同時代(西暦紀元前第5世紀)の有名な歴史家ヘロドトス著「歴史」(岩波文庫上中下3巻)を見ると、バビロニア、ペルシア、ギリシア、シリア、スキュタイ、エジプト各国の興亡の歴史が面白く描かれている。その中で興味を惹くのは各民族の神話・伝説である。各民族はそれによって超自然的な宇宙の神々との絆を誇りとし、頼みとして国を造り、それを拡張して行くのであるが、王たちはその神々の子孫である。雄牛を父、龍を母とするとか、天空を父とし、大地を母とするとか、あるいは、ゼウスを父とし、ポリュステネス河の娘を母とするとかである。

 こうしたメソポタミアの伝説が古代支那に伝わった。それは、スメル人が侵入して夏帝国を倒し、殷(イン)帝国を建てたが、その皇帝は伏義(ふつぎ)、帝妃は女禍(じょか)で、二人共人頭蛇身であったと言われる。

イスラエル民族の歴史
 しかし、これとは別に、旧約聖書によれば、西暦紀元前2000年頃の メソポタミアに住むアブラハムという遊牧民族の族長が天地創造主神からの選びと召しを受け、その子孫がパレスチナの諸王国を征服してイスラエル王国を建てるのである。その先祖をさかのぼっていくと人類の始祖アダムとエバという夫婦に至り、アダムは天地創造主神から生まれた神の子である(創世記1:27,ルカ3:23〜38参照)。しかし、神の御心に従わなかった報いで、アダムとエバはエデンの園(天界?またはどこかの星?)から地上に追放された。その子孫から国々が出来たが、地球上は神に逆らう諸民族の闘争により悪で満ちた。そのため、神の裁きによる天変地異で義人ノアの家族8人以外は全部海中に呑まれて滅ぼされた。だが、ノアの子孫も堕落して独裁君主が生まれ、国々は闘争に明け暮れて世界帝国が興亡を繰り返した。
 そういう歴史の中でイスラエルは前述の通り王国を造って一時繁栄したが、神の御心に背いた結果、国は滅亡し、イスラエルの民は全世界に散らされて漂泊し、西暦紀元1948年に至って、パレスチナにイスラエル共和国を再建することができた。しかし、イギリスとフランスの外交戦略に翻弄されて、パレスチナの先住民族となっていたアラブ民族はイスラエル民族を受け入れず、イスラエル抹殺をスローガンに攻撃を続けている。イスラエルはイギリスとアメリカを頼みとして国を守ることに徹している。
お互いに肉親を殺された恨みにより、復讐が繰り返される。

日本民族の歴史
 ひるがえって、日本民族の先祖は天地創造主神から生まれた現人神(あらひとがみ)であって、スメラミコト(天皇)と呼ばれ、竹内文書によれば、天日球国(あめのひだまのくに)から宇宙船に乗って地球に降臨し、最初の大陸の東部に日本国を建設し、上古第1代から人間の姿を持つ夫婦神として現代まで君臨してきたとされている。古事記・日本書記の神話から、神武天皇が日本国を創建したとされていた常識は覆され、それより105代以上もさかのぼって、宇宙の創世にまで至るのである。そして、宇宙創造神の地球統治は日本から始まって世界を16州に分けて行われたこと、その各州に皇子が民王として派遣され、統治したこと、その統治の象徴として16花弁の菊のご紋章が各州都に掲げられたことなどが記録されている。今でもイスラエルのエルサレムの黄金の門や、バビロンのイシュタル門や、スペインのアルハンブラ宮殿に16花弁の菊のご紋章が掲げられているのはその証拠である。しかし、度重なる天変地異によって地球は変化し、世界地図も変化して、日本は約1万2000年ほど前に大陸を離れ、今の列島の形となった。また、世界各地に反乱が起こり、覇王たちがスメラミコトに背いて私利私欲のために民の財産を収奪する専制政治を行い、民が王を廃して民主制国家を建てる等、現代に至るまでの世界歴史を作り成してきたのである。
 
国家破壊の世界戦略
 マルクス主義が「国家や王制は人民搾取の手段である」と定義したのには、以上の人類史の経過から生まれた思想に基くのであって、一理はあると思われる。しかし、本来はそうではなかったのである。神を否定し、信仰を空想と見なし、唯物思想によって人間社会を自由・平等・博愛による幸福な社会にするというイデオロギーそのものが空想と言わねばならない。現に共産主義国家は激しい権力闘争と人民からの富の収奪に明け暮れているではないか。対外的にも他国の領土を奪い、どこまでも拡張する政策を推し進め、世界を彼らの独裁支配下に置くまではやまないのである。基本的人権は強権の下に押しつぶされ、夫婦・親子・兄弟・姉妹による家庭の絆はバラバラにされている。自由も平等も博愛も口先だけのスローガンに過ぎない。もっとも、共産主義は国際的闇の権力が作り出した世界支配の手段であると、闇の権力の代弁者が堂々と公表する時代になったのだから、今更、わたしが言うまでもないであろう。彼らは諸々の国民国家を破壊することを目的としているのである。

国民国家とは何か
  では、国民国家とは何であるか。国民国家とは民族国家である。そもそも民族の成立の基盤は家族(ファミリー)にある。家族とは人間社会存立の基盤となる最小の社会である。夫婦が結婚して家族を形成する。家族が集まって部族となり、部族が集まって氏族となり、氏族が集まって民族となるのである。
 ところで、家族は夫婦と子供だけではない。一つの家族には夫婦の父母が含まれ、そのまた父母も含まれる。祖父母、曽祖父母、孫、曾孫という縦の絆があって祖先を形成している。この家族はまた横の絆をも形成しているのである。そうした家族が集まって、部族となり、氏族となり、民族となるのである。

イスラエル民族の例】 
 例えば、イスラエル民族の成立はどうであったか。彼らが神の召しによって、メソポタミアのハランから旅立ったときは、アブラハムとサラの夫婦と甥のロト夫婦だけであった。やがてアブラハムには独り子イサクが生まれ、イサク夫妻からエサウとヤコブが生まれ、ヤコブと12人の子供とその妻子を合わせて、ヨセフの招きでエジフトに下ったときは70人になっていた。それが430年後にエジプトから脱出するときには成人男子だけで60万人となり、民族全体で見ると、寄留の他国人を含めて約200万人くらいにはなっていたと思われる。彼らは12の各部族単位で軍団を組み、生活集団を形成して、唯一の指導者モーセに従った。そして、モーセは預言者として神のお告げにより民族全体を統治した。しかも、それは排他的社会ではなく、律法に従って共に生きることを希望する寄留の他国人をも受け入れて共存する国民国家であった。

 しかし、1976年刊のアーサー・ケストラー著「ユダヤ人とは誰か」によれば、その時点で存在する世界のユダヤ人の数は約1500万人で、その内スファラディーという血筋の上のユダヤ人は10%、あとの90%はアシュケナージというカザール人である。中央アジアにいたカザール人が第8世紀に集団改宗してユダヤ教徒となった。ユダヤ人には国が無かったので、ユダヤ教を信奉する人がユダヤ人なのである。従ってパレスチナにイスラエルの国を再建するのに、王国を建てることは出来ず、民主制の共和国を建てた。この点では、日本人とかなり異なっているが、彼らはユダヤ教を精神的基軸とし、家族の絆を非常に大切にしているのである。
【日本民族の例】
  われら日本民族もそれに似た国民国家である。さきに述べた竹内文書の古代神話・伝承によれば、3000億年以上の昔に、宇宙の天日球国(あめのひだまのくに)から天下ってきた上古第1代天皇(スメラミコト)と皇后・皇妃たちは沢山の皇子・皇女を産み、国家形成の役割を家族みんなで分担した。上古(じょうこ)朝25代、不合(ふきあえず)朝73代、神大和(かんやまと)朝125代(神武天皇から今上天皇まで)の各天皇は、時代をさかのぼるに従って沢山の后妃と皇子・皇女を持っていたのである。
  と言うことは、日本民族の主流は系図をたどれば皆どれかの天皇の子孫となっていると言っても過言ではない。ちなみにわが皆川家の系図によれば神大和朝代56代清和天皇の子孫となっている。また、講談社学術文庫「日本系譜総覧」を見れば、日本国民が系図つまり血流によって結ばれた家族社会であることが良く理解できるであろう。もちろん、日本国家を形成するのは天皇家の血筋だけでなく、色々異なった血筋の人びとが合わさった共同体であるが、一口に言えば、日本国家とは天皇を頭とする一大家族国家であると定義することが出来る。これが日本の伝統である。日本民族も「かんながらの道」即ち、日本神道を基軸として、天皇を中心に家族のきずなを大切にして生命共同体を形成するのである。

 それは明治23年10月30日に、明治天皇の名で発布された教育勅語に明示されている。手短かに言えば、「わが皇祖皇宗、つまり天皇の祖先は遠い昔に国を建ててから高い徳をもって国を治めてきた。《【註】これは、プラトンの国家の理想的君主像である》。それゆえ、お前たち臣民は君に忠、親に孝、兄弟仲良く、夫婦和合し、友達は信じあい、行動は慎み深く、博愛をみんなに施し、知能を磨き、徳を高め、公共の利益のために尽くし、国法を尊び、国家の危急の際には義勇をもって国防に当るようにせよ」ということである。これは国民国家日本の民として当然のことを教えたものである。

日本国家の破壊
 しかしながら、戦後日本に進駐した占領軍司令部は、強固な民族共同体である日本が連合国にとっては危険な存在であると見て、徹底的に国民国家を破壊することにしたのである。その共産化政策を列挙すると、
(1)極東軍事裁判によって日本を侵略戦争を行った犯罪国家として断罪  すること。
(2)ラジオ・新聞・その他を通じ毎日、日本国民に戦争犯罪者罪責感を   刷り込むこと。(南京大虐殺、従軍慰安婦のウソ)
(3)戦争放棄を謳(うた)った「新日本国憲法」を作らせること。
(4)天皇の神性を否定し、天皇の伝統的主権を否定し、国民の総意に   より天皇の存在を認める、主権在民を謳わせること。
(5)基本的人権を謳うことによって、国民意識を捨てさせ、国家、社会、  家庭等の絆から自由な個人主義を日本人に植えつけること。
(6)民主主義は進歩であり絶対善である、保守主義は退歩であり絶対   悪であると鳴り物入りで宣伝すること。
(7)日本人をマルクス主義思想によって洗脳すること。
(8)農地解放により地主から土地を取り上げ、小作人たちに分配するこ  と。
(9)学校教育では、従来の記述式テストではなく、○×式のテストを採   用することで、日本人の思考力を減退させること。)
(10)教師を教育労働者とみなして、教師の職に対する尊敬心を失わせ  ること。
(11)男女平等、女性の人権、子供の人権を主張するジェンダーフリー   の風潮を発展させること。

日本国内からの反応
  こうしたマルクス主義的な占領軍政策に呼応して、日本人のマルクス主義学者たちや、日教組の教師たち、官僚たち等が雨後のたけのこのように群がり立って協力したのである。キリスト教の牧師・信徒たちも同様であった。わたしも初めはだまされた側であったが、深く懺悔して、悔い改め、日本国家の伝統を回復するために祈りつつ努力しているのである。先ず、失われたものの尊さを認識し、それを回復する努力を前向きに推し進めようではないか。(以下、6月号に続く)
 
 


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