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天使と悪魔及びその働き
                             
ヨハネ 皆 川 尚 一
1.天使の階級と種類
  13世紀の偉大な神学者トマス・アクイナスの「神学大全」によれば、天の御座をめぐる九つの天使の階級があって、三つのグループに分かれています。
上級3隊
  (1) セラフィム(し熾てんし天使)
  (2) ケルビム(智天使)
  (3) 王座(座天使)(トゥロウンズ)
中級3隊
  (1) 主権(主天使)(ドミニオンズ)
  (2) 力(力天使)(ヴァーチューズ)
  (3) 能力(能天使)(パワーズ)
下級3隊
  (1) 権勢(権天使)(プリンシパリティーズ)
  (2) 大天使(アークエンジェルズ)
  (3) 天使(エンジェルズ)

  使徒パウロは《コロサイ1:16》で、王座・主権・能力・権勢の天使グループはみな御子にあって造られ御子のために造られたと述べています。

2.天使の特性と働き
【1】神に仕える天使たち
  セラフィム(熾天使)は、神のお側に仕える天使で、いと高き御方への灼熱の愛によって燃えています。遠くから見ると赤ちゃんの姿に見えます。ルネッサンス以後の画家は神の玉座の周りのセラフィムを赤ちゃんとして描きました。
  イザヤ書第6章には、預言者イザヤの見たセラフィムの姿が書かれています。天の神殿の玉座に神様が座しておられ、その周りをセラフィムが飛び翔っています。彼らは各々六つの翼を持ち、上の二つで自分の顔を覆い、下の二つで足を覆い、中の二つで飛んでいました。この翼というのは、鳥の羽のようなものではなく、天使の体から発する光線なのです。
  彼らは神を讃美する歌を歌っていました。
   「聖なるかな、聖なるかな、
    聖なるかな、万軍の主、
    その栄光は全地に満つ」。
  イザヤはあまりの神々しさに打たれて、自分の汚れを感じます。特に、唇の汚れです。するとセラフィムは天の祭壇の燃える炭火を火箸ではさんで持ってきて、イザヤの唇を清めてくれました。
  このように、セラフィムは讃美を歌い、音楽を奏でるだけでなく、人の汚れを清める働きもするのです。ケルビム(智天使)は、全き智恵の天使。(3)王座(座天使)は、神の玉座に仕える天使。これらの天使たちは讃美の歌と音楽とを奏で、オーケストラが演奏するように素晴らしい交響曲を天界に鳴り響かせます。

  昔、神の御子イエスのご降誕を告げる天使ガブリエルのお告げがあった時、ベツレヘムの野辺で羊飼いたちが聞いた天の讃美はこの地上にも鳴り響きました。
  また、バッハやハイドンやヘンデルやベートーベンたち有名な音楽家は天界の讃美に耳を傾けて作曲をしたと言われています。そのような有名な人でなくても、平凡なただの人にも天界の讃美は聞こえるのです。

  ★わたしの知人M.S.さんは、奥さんが天に召されたとき、夕焼け空に響き渡る天界のシンフォニーを聞きました。
  ★わたしも礼拝の中で、聖餐式をしている時壮大な天界のシンフォニーを聞いたことがあります。

【2】自然界に仕える天使たち
  天使たちは霊界だけでなく、物理的な宇宙の中でも神聖な任務に従事しています。神の創造のみわざに仕え、巨大な宇宙の星々の運行を司どっています。また、地球上の自然界の全てもそうです。雹、雪、稲妻、雷、地震、 雨、台風、雲、大空、昼と夜、地・水・火・風の4元素、金、銀、宝石、岩石、石油、ガス、ウラニュウム等の無生物、そして動植物など全ての生物を育て、養い、調和を与え、神の栄光を現わす働きに仕えています。ユダヤの伝承タルムードには、小さな草花の一つ一つに天使がいると教えています。  

  天使には、3メートル以上の巨大な天使から、15センチくらいの小さな妖精と呼ばれるものまであります。また、天使は時と場合に応じて様々の異なった姿で現れます。

  ★わたしは昔、インフルエンザで激しい頭痛に苦しんだとき、夜中にふと気がつくと沢山の陽気な小人たちがワイワイ言いながらわたしの全身を支えて癒してくれるのを見ました。それで頭痛は去り、元気になりました。
  また、妖精には一時的に現われて、仕事が終わると消えてしまうものもあるようです。

【3】人間に仕える守護天使たち
  また、天使たちは人間に仕えています。それは《ヘブル1:14》「御使たちはすべて仕える霊であって、救いを受け継ぐべき人々に仕えるため遣わされた者ではないか」とある通りです。

  天使は例外なく全ての人に守護霊として付き添っています。
  ユダヤの伝承やオリゲネスによれば、妊娠後の胎児の中に天界から人間の霊魂が宿るとき、天使が付き添って来て、宿るのを助けます。胎児にはすでに善い天使と悪い天使(悪霊)が付き添っていて、善い天使の導きを受け入れる人は神に従う生き方を選び、悪霊の導きを受け入れる人は神に逆らう生き方を選びます。善い天使は人の右の肩に、悪霊は左の肩に乗っているともいわれます。

  赤ちゃんの霊魂は全て純白で汚れ無き者と考えるのは誤りであって、生まれながらにして悪い霊魂を持つ赤ちゃんもいることをオリゲネスは記しています。

  天使の守護は人が天界から来て、この世の旅路を辿り、また天界に帰ってゆくまで、人生のあらゆる局面、全ての曲がり角にまで、途切れることなく続くのです。そして、この世を去って天国に帰るときには、その人の霊魂に付き添って行きます。また、主イエス様や天界の天使たち・聖徒たち(特にその人の肉親たち)が出迎えてくれます。

【4】大天使ミカエル  
  ミカエルは天軍の総司令官の名ですが、その軍団の名称でもあります。つまりその軍団の天使たちは皆ミカエルと呼ばれます。ほかの天使たちもみな同様です。それぞれのグループの名で呼ばれています。そして主イエス様だけが天使に個人名をつけて呼ばれるのだそうです(スエーデンボリ)。  
  ミカエルはイスラエル民族の守護天使で、ヒゼキヤ王のときアッシリヤ軍18万5千人を一夜のうちに滅ぼしました。  
  また、ミカエルは日本民族の守護天使でもあります。  
  あなたが悪魔・悪霊と戦うときには、ミカエルの名を呼んで勝利を得ることが出来ます。

【5】大天使ガブリエル
  ガブリエルはお告げの天使で、神様の御言葉を取り次ぐのが常です。聖母マリアへの受胎告知は有名です。名画に描かれるガブリエルは女性のようにたおやかな姿ですが、実はミカエルと共にガブリエル軍団を率いて悪魔・悪霊と戦ってこれを滅ぼす英雄であります。 その名の通りガブリエル「神の勇士」です。

【6】大天使ラファエル
  ラファエルの名は「神の良薬」とか、「神は癒される」という意味だとされています。彼は愛、喜び、光り、神意、特に癒しの天使として知られています。
  伝説では、旧約聖書外典のトビト書にラファエルがアゼリアという名で出てきます。手短かに書きますと、《トビトはアッシリアの捕囚となってニネベで暮らしていたが、ある時雀の糞が目に入って盲目となり、死ぬことを願っていた。同じ頃、メディアで暮らすトビトの親戚ラグエルの娘サラも結婚すると初夜に夫が死んで、7人の夫に先立たれ死ぬ事を願っていた。サラにはアスモデウスという悪魔がとりついて近づく男を殺していたのだ。
  神は彼らを助けるために天使ラファエルを遣わした。ある日、トビトはメディアの知人に預けた金があるのを思い出し、息子のトビアを回収に行かせたが、見知らぬ若者アゼリアが道連れになった。これがラフアエルの仮の姿であったのだ。二人がチグリス川に来た時、トビアの指先に大きな魚が食いついた。この魚の心臓と肝臓を燻すと悪魔はサラから逃げ去った。トビアとサラは安心して結婚することが出来た。そして、帰宅したトビアが父親トビトの目に魚の胆汁を塗ると、目が見えるようになった。これらはすべてアゼリアが教えた治療法であった。》

【7】大天使ウリエル  
  ウリエルはエデンの園を守る天使です。また、彼はノアに箱舟の造り方を教えました。それで彼は人に製作技術を教える天使、また、金運を司る天使とされています。また、人の肉体にその霊魂を入れる天使です。また、彼は天体(太陽・月・星その他)の運行を司どります。エノクはウリエルに案内されて天界と地獄とを見て周りました。また、ウリエルは天界の記録係でアカシック・レコードはウリエルの記録かも知れません。ウリエルはエノクに天界の記録を語り、エノクはそれを記録して360巻の書物を作り、地上に持ち帰ったとされていますが、その書がどこにあるかは不明です。

【8】大天使メタトロン  
  外典第三エノク書によれば、エノクは生きたまま天に上げられて天使メタトロンに変容したとされています。彼は神の御顔を真近く仰ぎ見る者、英知にあふれた天使です。またメタトロンはイスラエルのエジプト脱出を助け、男だけで60万人、女子供と家畜を合わせた大集団を導いて、海の水を二つに割ってその間を通らせ、シナイ半島を横断するとき昼は雲の柱となって灼熱の太陽から集団を守り、夜は火の柱となって砂漠の寒気から集団を保護したとされています。

【9】大天使サンダルフォン  
  またユダヤの伝承では、預言者エリヤは生きたまま天に上げられて、天使サンダルフォンになりました。彼は天の歌の大家、祈りを取り次ぐ、とりなしの天使です。

3.悪魔の特性と働き
【1】悪魔=サタン    
  悪魔とは神に敵対し、人間を神から引き離して背かせ、堕落させ、滅ぼす悪い霊をいいます。悪魔・悪霊は「地獄」と呼ばれる悪の暗黒世界を形成し、そこを根拠地として陰府とこの世と天界とに活動しています。サタンとはヘブライ語で「敵」、あるいは「訴える者」を意味します。ですから悪魔=サタンと言えるでしょう。たいていは悪魔の別名をサタンと言っていますが、悪魔の中にサタン、ルシフェル、ベルゼブル、ベリアル、アスモデウス、アザゼル、リリス等が包括されていると考える人もいます。

【2】ルシフェル   
  ルシフェルとは神に背いた最初の天使です。彼はかっては「セラフィム(熾天使)」の長で神の直ぐ側に侍る光り輝く存在でした。そして大天使ミカエルとは双子の兄弟だったとも言われます。しかし、人間が神に愛されることを妬み、神に似た者になろうとした高慢によって堕落し、天界から追放されました。このときルシフェルに従って、天使の三分の一がルシフェルと共に地に落ちたといわれます。ルシフェルを「明けの明星」と呼ぶのは西暦紀元第3世紀から始まりました。    
  イエス様は「私はサタンが電光のように天から落ちるのを見た」と言われました(ルカ10:18)。それでサタンとルシフェルは同じ存在であることが分かったのです。  
  また、ルシフェルは巨大な龍や蛇に変身します。ルシフェルとその軍団を天界から追放したのが、天使ミカエルとその軍団です。

【3】ベルゼブル  
  ベルゼブルはパレスチナ土着の神としてカナン人に崇められていた悪霊の首領です。バール・ゼブブ(蝿の王)とも呼ばれます。彼は英知にあふれた威風堂々の姿や、巨大な蝿や子牛や牡山羊の姿で現われたりします。また、神のようにお告げをしたり、作物を蝿の害から守ってくれると信じられました。

【4】ベリアル  
  ベリアルは悪魔の名前ですが、聖書には「邪まな人」と訳される場合もあります。その容姿は美しく、優雅で威厳に満ちているが、地獄でもっとも放埓で卑猥な性悪の悪魔とされています。人間に裏切りと嘘と性的倒錯(ホモ、レズ)、密通、邪欲などの罪を犯させる悪魔です。

【5】アスモデウス  
  アスモデウスは、前身はケルビム(智天使)だったとされますが、ルシフェルと共に堕落して悪魔になりました。彼は激怒と情欲の権化で、 乙女を襲い、若妻や貴婦人に憑依するとされています。彼の手下に性魔と呼ばれるサキュバス(男性を犯す夢魔)や、インキュバス(女性を犯す夢魔)がいます。  

【6】アザゼル  
アザゼルはルシフェルとは別の理由で天界から追放されました。エノク書によれば、彼らは200人の「見張りの天使」で、人間たちを見守る役目を持っていましたが、人間の娘たちの美しいのを見て欲情し、全員が娘たちと結婚して子供を生みました。それがネピリムという巨人の起源だといわれます。神はアザゼルの所業を怒って大天使ラファエルに命じてアザゼルを荒野の穴に閉じ込めさせました。このことから、ユダヤの律法では、大祭司が民族の罪を山羊に背負わせてアザゼルの許に追放する儀式が記されています。

【7】その他、諸々の悪霊たち   
  以上は、主な悪魔・悪霊たちですが、このほかにも大小様々の悪霊たちがいます。死人の霊が陰府からこの世に対して執着をもち、悪霊として色々な人々に憑依したり、攻撃したりします。また人間の怨念が生き霊となって相手を攻撃し、悪霊がそれに同調する場合もあります。従って、わたしたちは聖霊の力によって識別しながら、悪魔・悪霊に立ち向かう必要があります。

3.結論  
  以上述べたように、私たちは天界からの圧倒的な支援を受けながら、悪魔・悪霊たちの様々の妨げや攻撃に対して勝利して行くことができます。個人的とりなし、教会のためのとりなし、日本のためのとりなし、全世界のためのとりなし等は宣教のわざそのものと言えるでしょう。  
  イエス様は「あなたがたは、この世では悩みがある。しかし、勇気を出しなさい。わたしはすでに世に勝っている」(ヨハネ16:33)と言われます。
                                       アーメン
参考文献
* 「天使の世界」マルコム・ゴドウィン著 大瀧啓裕訳 青土社刊
* 「天使の文化図鑑」ヘルベルト・フォアグリムラー著 東洋書林刊
* 「天使の博物誌」デイヴィッド・コノリー著 三交社刊
* 「天使のひきだし」視覚デザイン研究所刊
* 「天使と悪魔」真野隆也著 株式会社カンゼン刊
* 「地獄の辞典」コラン・ド・プランシー著 講談社刊
* 「悪魔」「サタン」「ルシファー」「メフイスト・フェレェス」各巻の著者 
   J.B.ラッセル 野村美紀子訳 教文館刊

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